ヤイトサラサエビ rhynchocinetes conspiciocellus

 サラサエビ科。錦江湾では、水深5m以深の岩場であれば、どこでも見られます。
 腹節の背中にある、1つの目立つ黒点を、お灸のあとに見立ててこの名がつきました。水中では、額角の先端の白い点が目立ちますが、水中ライトで照らすと、鮮やかな体色が浮かび上がります。ダイバーが手を出すと、じわじわ近寄ってきて、爪のあたりを掃除してくれます。これが、クリーニングなのか、土左衛門と思って食べているのかは分かりません。ただ、かわいい動きにつられて、されるままになっていると、結構強力なはさみ脚で爪の甘皮をすべて剥がされ、エキジット後痛い目を見るので、要注意。
 大型雄は、胸脚の一対が体長以上にのびます。夏から秋、この大きな雄が、脚を籠のように使って、雌を確保する姿を見ることができます。おそらく、雌の脱皮後、交尾をするものと思われますが、まだ見たことはありません。また、雄同士の喧嘩も頻繁に見られます。長いはさみ脚を使って、戦う姿は、本人(?)たちは必死なんでしょうが、とてもかわいいです。
 こんな、どこにでもいるような生き物こそ、ゆっくり時間をかけて、また、繰り返し通って観察する相手にもってこいです。誰でも知ってる普通種の、誰も知らない私生活をちょっと覗いて見ませんか?

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