キタマクラ Canthigaster rivulata を掃除するオドリカクレエビ Periclimenes magnificus

 フグ科とテナガエビ科。キッカイソギンチャクに住んでいる、オドリカクレエビに掃除してもらう、キタマクラ。錦江湾では、浅い砂底で夏から秋に見られます。このような、クリーナーシュリンプが住むイソギンチャクの周りは、魚たちのクリーニングステーションとして、にぎわいを見せています。特に、いつもたむろしているのが、キタマクラ。近くの砂底に転がっているもの、逆立ちしているもの、別の個体と小競り合いしているもの、いろんな格好で順番待ちをしています。中には、エビを自分の方に来させようとクリーニング中の個体にすり寄っていくものもいます。クリーニングされている個体は、本当に気持ちよさそうに、じっとしています。ダイバーが近づきすぎても、順番待ちのものは、少しその場を離れますが、クリーニング中のものは、怖いけど、気持ちいいし、エビはおろしたくないし、逃げたいし……と、いかにも困り果てているという顔をするので、思わず吹き出してしまいます。
 そんなに気持ちいいのかと、カメラをおき、レギュをはずし、魚たちのあいだに割り込んで、頬をイソギンチャクの横の砂底に押しつけて、しばし待つこと数十秒。エビたちが口の中に入ってきました。なんだか、細かい脚がこそこそして、時折ちくっとします。あの弱々しい体にしては、はさみは強いようです。それが、2,3匹入ったのでしょうか、大変なくすぐったさです。その時はっと気づきました。こんな格好を人に見られたらどうしよう。すごい顔をして、大口を開け、お尻をつきだして砂底に頬ずりする男……。事情を知らない人が見ると、相当驚くでしょう。誰も見ていないか、周囲を伺い、そそくさとその場を去りました。……でも、帰りにもう一回やってしまいました。どうも癖になるようです。
 長めの息ごらえと、イソギンチャクに顔をつっこんでしまわないダイビング技術が必要です。決して、エビを騙して食べないように。あと、順番待ちのキタマクラに耳たぶを噛まれることがあります。一度やってみてください。海洋生物の仲間入りをした気分になりますよ。
 場所が飛びますが、以前、外海の坊津で岩穴に頭をつっこんで、アカシマシラヒゲエビに歯磨きしてもらってたら、口内炎をつつかれ、後頭部を痛打したことがありました。口内炎ができた時はやめた方がいいですよ。

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